朝一番におはようを


意識が戻り始める頃に気づく温もりと心地よい素肌の感触に、ずっと抱きしめ合って眠っていたことを思い出す。
瞳を開ければ世界の何よりも愛しい人が眼前にいる。互いの姿を目に映すタイミングすら一緒。でも余りにも同じことが続くのはいくらなんでも不自然であるし、これはきっと彼が合わせてくれているのだと思う。

「ウッドロウ。おはよう」

気づいたことがある。以前は「おはよう」が先で、名前を呼ばれるのは後だった。今もそうだったがここ暫くずっと、おはようよりも先に私の名前を呼んでくれるのだ。こんな些細なことでも・・・いや、些細なことなんかじゃないから、胸が甘く痛くなるような幸せを感じるのだ。
だから、今日から私も先にその大切な名前を言ってからおはようを送る。

決まってその後に交わされる口付けは、いつもよりずっと深いものに変わった気がした。


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今日もきれいだ 】【 小説置き場へ 】

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今日もきれいだ


暫くまどろみの余韻を味わい、のそのそと起き出す。二人で夜を過ごした後、眠る前に大抵ズボンは着用するが上半身は裸のままだ。低血圧の俺よりも寝起きのいいウッドロウは大方先にベッドから出て身支度を始める。
しなやかな褐色の肌と少しだけ寝癖の為にはねた銀髪。どれだけ見ても見飽きることのない美しい姿を視姦するように眺める。と、同時に、つい先程までその肌と抱き合わさっていたと思うと変に気恥ずかしくもなる。

シャツを腕に通す、その筋肉の動きすら色めいていて、その様に俺はいつも気がおかしくなりそうだ――と、伝えたら、お前はどんな反応をするだろうか。


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熱はないみたい 】【 小説置き場へ 】

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熱はないみたい


「悪い、昨日かっ飛ばし過ぎたせいで喉の調子がおかしいから、戦闘メンバーから外れるわ。足引っ張ったらいけねえし」

仲間の了解を得て、控えにまわったあの人を注意深く観察する。今日部屋を出るまではそんな素振り見せていなくて、体調が優れないことを見抜けなかった自分に腹を立てた。
私が見ていない(と思っている)所で表情を歪めて咳き込んでいる姿を数度発見して胸が痛む。
せめて交代しなくてもいいように、自分ひとりは一日中交代無しでタフに戦い続けた。

一日が終わり宿屋に到着した夜、辛いのは喉だけなんだという彼の額に手を当てて風邪の有無を確かめる。確かに熱はないみたいだ。だけど喉の具合は思った以上に悪いらしく、声が今朝より嗄れてきている。
夕食後、少し早いが貰った薬を飲んで眠るように忠告すると彼は素直に聞き入れた。

曰く、明日も一日中お前に戦わせるわけにはいかないから、早く治さないとな、と。

気遣ったつもりが逆に気遣われていて、私への思いやりの深さを思い知った瞬間だった。


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甘く煮つめてその後は 】【 小説置き場へ 】

タイトル配布元 : 空飛ぶ青い何か。

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甘く煮つめてその後は


※若干(いきなりな)性描写がありますので白文字にしています。平気な方はCtrl+Aなどで反転させてお読み下さい。13禁。


互いの身体をすり合わせて身も心も昂ぶらせていく。腿や腹にこすりつけながら段々中心同士の摩擦へと移行する。すでに漏れ出ているものが快感を煽り、じきに上り詰めそうな気配になったその時ジョニーが動きを止め、ウッドロウにもストップをかけた。キスしたい、と目の前の唇にしゃぶりついて舌を入れる。
情熱的なそれに思わず自然に腰が動いてしまうが、まだダメだと釘を刺され熱っぽくウンウン唸って耐える。あまりにも長く続くキスの隙間を縫ってもうダメだと言っても瞬時に唇を捕らえられ願望を聞き入れられない。口内を犯されてますます欲望がはち切れそうに膨張し、甘苦しくてたまらなかった。

これ以上は耐えられないと、彼の胸の頂を指で押して反対に興奮を誘ってやる。不意打ちのような愛撫にジョニーも思わず身をよじりキスを続けていた口からくぐもった呻き声をあげた。
限界が近かったのはジョニーも同じで、すぐにウッドロウの求めに応じて再び腰を動かし、程なく恍惚のため息が押し出される。
ぎりぎりまでじらして吐き出された白い欲は熱くとろけていて、脱力して放蕩とした二人の身体を淫猥に飾り立てた。


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いただきます 】【 小説置き場へ 】

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いただきます


ジョニーさんは行儀が良いとは言えない人だ。
半開きのドアは手が空いていても足が先に出て蹴り開けるし、座った座席の前にテーブルがあればいつの間にかその上に足を投げ出す。食事中は大抵ひじをつきながら食べる。その時に本でも持参していようものなら食べながら読みふけり、箸やフォークでページをめくる。
だけどそれらはきっと、道化を演じる為にわざとやっている所業であると私は思っている。やってる内に習慣になってしまったには違いないだろうけど。

誰にも気づかれていないと本人は思っているけれど、知っている。
食事を始める前には、声に出すことなく「いただきます」と呟いていることを。そして出された物は決して残さずきれいに平らげる。繊細な見た目とは裏腹に、意外と豪快な食べっぷりが頼もしくてついついこの時の彼の様子を観察してしまう。
余裕ある大人が屈託ない少年に戻る瞬間――例えればそんな感じだ。一瞬だけ無意識の内に浮かべる特別な表情。

今日もまた、いただきますと呟いた後、頭上に音符が飛んだかのような笑みを見て、ついつい嬉しくなってしまった。


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ウッドロウ側2つ、ジョニー側2つ、三人称1つ・・・のはずが、ウッドロウ視点に偏ってしまいました。ウドロさんはジョニーを盲愛しているといい。ジョニーはウッドロウを溺愛するといい(←辞書ひっぱったら盲愛も溺愛も同じ意味だった罠)
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タイトル配布元 : 空飛ぶ青い何か。

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