you're forever to me >> 10-3 | |
「終日降り続いた雨の影響により、各地とも気持ちのいい晴れ間とはいかないようです。特に稲羽市方面では、今夜半から明日にかけて、濃い霧の発生が、予想されています。お出かけの際には十分ご注意ください。では時間帯ごとの天気を見てみましょう…」 雨が続いた後には霧が発生する。この土地独特の気象現象は未だ科学的に解明されていないという。人間界の知識でもって解明できない現象はいずれ天界の手が入る可能性がある。というかすでに悠がこの地へやって来たのもその一環と言えるだろう。菜々子の護衛から派生して、霧が元となって発生する場のイレギュラーについて、判明したことがあれば報告するようにと要請されている。 「霧か…多いな、最近。これ以上、面倒が起きなきゃいいが…」 菜々子は天気予報を含めたニュース番組が終わった途端、自分の見たいチャンネルに切り替えてしまった。 「あっ、こら。黙ってチャンネル変えるのダメだろ」 堂島が菜々子を咎めるも、菜々子はチャンネルを変えた先で流れたCMを見て破顔した。毎度お馴染みジュネスのCMだ。 「ジュネスは、今年もゴールデンウィークは休まず営業!来て、見て、触れてください。エヴリディ・ヤングライフ!ジュネス!」 「エヴリディ・ヤングライフ!ジュネス!ゴールデンウィーク、エイギョウしてるって!」 「ハハ、分かった分かった。連休、どっか行きたいのか?」 「どこか行けるの!?」 「お前どうだ、予定空いてるか?」 急に予定を訊かれ悠は驚いた。親子水入らず、てっきり堂島と菜々子二人の話し合いだと思っていたからだ。 「え?…空いてます、けど」 おかえりボタンも復帰していることだし、休みを利用してテレビの中の調査に行くつもりをしていたが、咄嗟に口から出たのは堂島の確認を肯定する返事だった。しまったと思ったがもう遅い。 「だったら、みんなでどっか行きたい!菜々子ね、ジュネスがいい!」 「ほんとにジュネスでいいのか?そんなの、いつでも行けるだろ…ほら、もう遅いから寝なさい」 「はーい…」 時計を見れば22時前だ。次の日は普通に学校があるので堂島は菜々子に就寝を促す。渋々返事をして菜々子はテレビの前から立ち上がった。 「エヴリディ・ヤングライフ!」 ゴールデンウィークはどこかに遊びに行ける、そんな期待感が菜々子を笑顔にさせた。 「ジュネスか。あんな近場で満足たぁ…ま、無理にとは言わんが、お前も予定がないなら考えといてくれ」 菜々子が寝床に行ったのを見届けてから、堂島が悠にもう一度誘いをかけた。 「いいんですか、俺まで?」 「何言ってんだ。お前だってこの家の人間だろ。俺が分け隔てするようなヤツに見えたんなら心外だな」 「いや、そういうわけじゃ…」 「ハハ、冗談だ。けど、何度でも言うぞ。遠慮はすんなよ。お前もこの家の子供なんだからな」 「はい、叔父さん」 堂島の記憶は天界からの刷り込みである。そう理解していても、堂島の心遣いに悠の胸の奥が温かくなった。 0時になった。カーテンを少し開けて外を見てみると、天気予報で言っていた通り霧が出ている。振り返ってテレビの方を見る。間もなくマヨナカテレビが始まった。 前日、前々日見たのと同じだった。砂嵐だけが映し出され、人は映らなかった。つまり、マヨナカテレビに映る条件を満たしている人がいないというわけだ。 ひとまず、今すぐ失踪する人がいないらしいことに悠は安心した。 +++ 次の日登校すると、正門前に天城がいた。天城は悠を見つけると話し掛けてきた。 「あ、お、おはよ」 「もう大丈夫?」 「う、うん…今日から学校、来るから…よ、宜しくね」 天城は里中から聞いたとおり、もうすっかり元気そうだ。 「千枝から聞いた…みんなで私のこと探し回ってくれたって…なんか、凄く迷惑かけちゃったみたいで…ごめんね」 そこまで言ってから、天城は首を振った。 「ううん、ごめんじゃないや。…“ありがとう”だよね」 天城の表情は、以前よりもずっと明るい。鮫川の土手上の東屋で話した時とは全然違って見えた。 「なんかね…不思議なの。その時の前後、何が起こったのかほとんど何も覚えてないのに、ひとつだけはっきりとした気持ちがあって…何処かへ、行ってしまいたいって」 自分の母親が心労で倒れ、その穴を埋めるべく孤軍奮闘していると、あの時東屋で天城が遠まわしに告白していたのを思い出す。そして天城自身の精神世界で、決め付けられた将来から逃げ出したい気持ちを吐露したことも。 「最近、色々な事が重なって…今までも旅館の手伝いが大変な時はあったけど、初めてお母さんの代理で立ち回っていたから余計に追い詰められたのかもしれない。不謹慎だけど…逃げ出したいって気持ちが、叶ってしまったのかな、なんて」 天城はここ暫くの自分の心境を噛み砕いていく。悠は黙って聞き続けた。 「でも、千枝から話を聞いて…鳴上君と花村君も一緒になって私を探してくれたこと聞いて、千枝にいっぱい泣かれてちゃって…一瞬でも自分の願いが叶っただなんて思ってしまって、凄く恥ずかしくなった」 自分に対して心を砕いてくれた人がちゃんといるのに、一人の世界に閉じこもってしまったことを悔いている天城。気づけたのであれば、きっともう悪しき霧に付け入られる事は無いだろう。 「あ、ごめんね、長々と語っちゃって。それから…ありがとう、鳴上君。私、眠っている間にどんな夢を見ていたんだろうって思い出そうとしたら、一番最初に出てきたのが鳴上君の顔だったの」 「…そうなんだ?」 花村や里中と同じく、天城も無意識のどこかに悠に対しての感謝の念が留まっているらしい。 「うん、なんでかはわからないんだけど。何となく…凄くお世話になった気がする」 「夢の中の俺に?」 「うん。だからお礼言っておきたくて」 「俺、何もしてないけど…夢の中の俺に代わってどういたしまして?…でいいか?」 「ふふ、そうね。ありがとう」 「雪子ー!」 天城との会話が一段落した時、向こうから里中がやって来るのが見えた。 「あ、千枝。じゃあ、また後でね」 天城は里中の方へ走っていった。久しぶりに二人が笑顔で一緒にいる日常が戻り、悠はそんな二人を見て天城を救うことができてよかったと自然に微笑みを浮かべた。 「お待たせ。千枝はおそばの方だよね」 「サンキュ!お〜この匂い、たまらん…部活前のこの一杯の為に生きてるね、うん。これ、あとどんくらい待ち?」 「全然、まだよ」 緑色のパッケージをしたインスタント食品のたぬきそばを里中に渡し、天城は里中の隣へ腰掛けた。その手には赤色のパッケージのきつねうどんがある。 「で、なんだっけ?…あ、雪子に事情訊くんだったよね」 放課後、悠、花村、里中、天城の4人は屋上に集まった。天城から、行方不明になった前後の事を訊きだす為だ。 「なぁ、天城さ、ヤな事ムリに思い出さす気は無いんだけど…改めて聞かせて欲しいんだ。天城の身に、一体何が起こったのか。家出では、ないんだよな?」 花村が気を配りながらも、本題を単刀直入に言った。天城の方も心得ているのか質問自体には不快感を示さない。しかしここにいる誰もが知りたいことについては何一つ答えられないのを自覚しているせいか、表情を曇らせたまま質問に応じた。 「うん…家出じゃない。家出するなんて度胸、私には無かったから。落ち着けば思い出すかなって思ったけど、時間が経つ程、よく分からなくなっちゃって…ただ、玄関の…チャイムが鳴って…誰かに呼ばれたような気は、する…けど、その後はもう、旅館のロビーで目が覚めるまでは…ゴメンね」 「謝んなくていいって。けど、やっぱ誰かにさらわれたってこと?その来客ってのが犯人!?」 今の証言で、天城は自ら家出をしたわけではない事がまず判明した。つまり誰かに誘拐された可能性が高くなった。 「どうだろうな…もしそうなら相当大胆だぜ。玄関からピンポーンなんてさ。目撃者が無いか警察も洗ってんだろうけど…あんま期待できねーな。すぐ身元割れるようなナリで歩き回んねえだろうし」 「なんでこんな事すんだろ?」 「そこまでは犯人に聞いてみなきゃ分かんねーな…けど、天城のおかげでひとつ大事な事がハッキリした…人が次々消えてんのは偶然じゃない。誰かが、さらってんだ」 花村が断定するように言い切った。 「そういや、アンタなんで大真面目に推理しようとしてんの?マヨナカテレビのことにも熱心だしさ」 「ああ、言ってなかったな。この間鳴上とマヨナカテレビについて話しててさ、マヨナカテレビって、行方不明になる人間を映し出してんじゃないかって推測したんだよ。だから、今度もしテレビに人が映ったら、その人見つけて身の回り気をつけろって注意しに行こうって決めたんだ」 「なるほど…あれ、でもアンタたち別の推理してなかったっけ?確かマヨナカテレビに映った人は死んでしまうって…」 「山野アナと小西先輩には当てはまるけど、天城は無事に戻ってきたんだから、この時点でもう違うだろ。で、考え直したんだよ。行方不明になるまでは同じだから、基準はそっちじゃないかって」 「ふんふん、了解。つーか、あん時マジでびびったんだからね。雪子が死ぬかもしれないなんて言われてさ」 「悪かったよ。山野アナと小西先輩が死んで発見されたからさ…俺らもぞっとしたもんだよ」 「雪子が無事に見つかったのって、なんでなんだろう?いや先に行方不明になった二人が遺体で見つかったのに、雪子だけ例外になったのって…雪子、無意識の内に逃げ出してきたりとか?」 「うーん…全然記憶に残ってない」 「それは今いくら考えても答え出ねーだろ。その内何かわかったらいいけどさ」 テレビの中に別世界が広がっていて、そこに迷い込んだ人は眠る等して意識を失った状態になった時、人の精神を蝕む悪しき霧によって殺される。それ以前の二名は殺されたが、天城は天使である悠によって助け出された。天城の、山野と小西との違いはそれである。 テレビの中の世界について説明すれば、3人とも容易に一連の事件の大元とカギについて理解できるだろうが、下手に興味を持たれると人に対して著しい害悪をもたらす場のイレギュラーに近づくきっかけになりかねないので、悠は知らぬ存ぜぬを続けるしかない。場のイレギュラーは意識をなくした精神への攻撃だけではなく、外界から身体へどんな危害が加えられるかもわからないからだ。 「それはともかく、警察にマヨナカテレビを説明したところで信じてくれるわけないだろうし、俺らで未然に防いじまおうぜってことにしたんだ」 「それ、あたしも乗った。せっかくマヨナカテレビが見えるようになったんだもん、雪子は助かったからよかったけど、また誰かが誘拐されて、死んで出てくるなんてイヤだもん…あたしたちの住む町の誰かが、殺されるなんて」 「私も…協力させて。まだそのテレビ見たことないけど…どうして誘拐されたのか知りたい」 女子二人の申し出に、花村も頷いた。 「おっし!じゃあ、全員で協力して、誘拐されんのを防ごうぜ。上手く行けば、犯人探しだってできるかもしんねーし」 「けど、マヨナカテレビを見ないことには、次に誰が狙われるのかわからないわけだよね?今んところ」 「狙われたの、私で3人目だけど、これで終わりなのかな?もし、次に狙われる人の見当つくなら、先回りできない?」 「先回りか…なるほどな、いいかも。じゃあ、今までの被害者の共通点挙げてみようぜ。ええと…一人目、女子アナの“山野真由美”。二人目、“小西早紀”…先輩。三人目、“天城雪子”。えーと、全員の共通点は…」 花村から悠へ視線を送らた。答えを求められていると感づき、ひとまず一番無難な回答を言った。 「皆、女性である」 「だな」 「女性ばっか狙いやがってぇ!許せん!きっとヘンタイね」 里中が憤慨する横で、花村が新たな共通点を口にした。 「あと、これは?“二人目以降の被害者も一人目に関係してる”」 「あ、そっか、雪子も小西先輩も、山野アナと接点があった…」 小西は山野の遺体の第一発見者であり、天城は山野が宿泊していた天城屋旅館の関係者である。 「確かにそうだよね。とすると…“山野アナの事件と関わりのあった女の人が狙われる”…ってこと?」 「とりあえずは、そう考えられると思う。で、次もし、また誰か居なくなるとすれば…」 「雨の晩に、“マヨナカテレビ”に映るのかな!?」 「天城の時もそれっぽいの流れたからな。最初のうちはハッキリ見えないけど、重要なのは、居なくなる前に映ったって事だ」 「え、居なくなる前に映ったの?」 失踪した人が映し出されると誤解していたらしい里中が驚きの声をあげ、それを受けて花村が詳しく説明する。 「そうなんだよ。天城が行方不明になったのは16日土曜日の夕方ぐらいだろ?けど俺、その前の日テレビに誰かが映ったのを見てんだよ。その時は映像が不鮮明で天城だってわかんなかったけどな。だからマヨナカテレビを失踪予告装置って考えたんだけど。あれが何なのかは分かんないけど、今は当てにするしかない」 「次に雨が降ったら…か」 失踪する条件が何かのか、一応は“山野アナの事件と関わりのあった女の人が狙われる”としたが、あくまでも表面上で読み取れたものに過ぎず、まだわからない。もしこの条件が正解だとすれば、天城を助けた後の雨の晩にマヨナカテレビが次の誰かを映し出していてもおかしくはないはずだが、ここ3日続いた雨の晩は誰も映る事は無く、砂嵐だけだった。 とにかく次を予測する手がかりは、今はマヨナカテレビしか無さそうだ。次の雨の夜には、忘れずにテレビを見なければならない。 「ところでソレ、もう出来てんじゃね?」 話が途切れたところで、花村が里中の持っているインスタントそばを見て、食を促した。 「うおっと、そうだった!いっただっきまーす!」 「な、先生、ヒトクチ!とりあえず、ヒトクチ味見!」 里中が麺を美味しそうにすする様子に我慢できないのか、花村が盛んにヒトクチ味見コールを送る。里中は露骨に嫌そうな顔で花村を見た。 「うっさいな!アンタも買えばいいじゃん…ったく、ヒトクチだけだかんね」 「ちょっと食べる?」 天城からすすめられたので、悠もきつねうどんをちょっぴりいただくことにした。インスタントとは馬鹿にできない美味しさだ。しかしそれほど空腹ではなかったので、悠は二すすり程食べた後、天城に返した。 「ごちそうさま」 「はい、どういたしまして」 「う、う、うメェェェ…オレ、まじ、腹ペコの子羊の気持ち分かるわ〜」 対して、花村の方は空腹に染み入る味にそばをすする手が止まらない。物凄い勢いで里中のたぬきそばをかっ食らっていた。 「ギャー!ちょ、アンタどんだけ!」 里中に叫ばれて、花村はようやく手を止めてたぬきそばを返した。 「具ごと全部いかれてんじゃん…」 悲嘆した里中が、次には花村をキっと睨みつけてどすの聞いた声で言い放つ。 「アンタ…何したか、分かってんでしょーね?」 「い、いやいやいやいや!待て、ごめん、悪かった!代わりに肉!肉おごっから!肉だぞ、肉!?き、聞こえてる?」 「…肉!?」 花村必死の謝罪と代替案に、里中が数拍遅れて反応を示した。 「肉…よっし、肉で許す!直ちにおごりたまえ!」 「え、そりゃいいけど…お前、部活行くっつってなかった?」 「こんな腹ペコのまんま行ったって、部活になんないっつの!勿論、雪子の分もおごんなさいよ」 「あ、私はおそば食べたし、ジュースぐらいでいいよ」 「さいですか…あーまー…じゃあおごりに行って来るわ。お前も来る?」 花村は悠も誘ってくれたが、悠は首を振った。 「いや、遠慮しとく。今日は叔父さん早く帰ってくるって言ってたし」 「そっか。んじゃ今日のところはこれで解散だな」 「花村、早く行くよ!」 「わーったよ、あーもう…」 悠は3人と別れて家に帰ることにしたのは、今日の話し合いで天界への報告材料がまた一つ出来たからである。家に帰ったら早速報告書作成に取り掛かろうと、悠の歩調は自然と速くなった。 +++ 「4日と5日、だな…」 堂島が、菜々子の様子を窺うように、ポツリと呟いた。菜々子の視線が堂島の方へ向く。 「4日と5日なら、まあ…休み、取れそうだな」 菜々子がどこかに行きたいと言っていた、待望のゴールデンウイーク。都合がついたと言う父の顔を菜々子が見る。 「ほんと!?…ほんと?」 菜々子が驚いた口調で聞き返す。しかし、もう一度聞き返した二言目の方は全く力がこもっていなかった。 「…いつもダメだから」 「ま、毎年じゃないだろ。ジュネスに行きたいんだったか?近所じゃなくても、少し位遠くたっていいぞ」 「ほんと?りょこう?」 「あーまー、たまには、旅行もいいかもな。何処もメチャクチャ混むだろうけどな…」 「やったー、りょこう!」 菜々子のテンションが一気に上がり、かわいらしい笑顔がはじけ飛ぶ。堂島もそれを見て表情が緩んだ。 「んー…よし分かった。どっか、考えておかなきゃな。…お前どうする?一緒に、行くか?」 「え、ああ…」 堂島から改めて訊かれ、本当に自分も一緒でいいのかと少し躊躇った結果、悠は生返事のような反応をしてしまった。堂島には遠慮するなと度々言われているが、父を独占したいであろう菜々子の邪魔になってはいけないという思いが掠めたからである。 「えー、行こうよー!」 実際は悠の心配とは逆に、菜々子は悠を全力で誘ってきた。 「菜々子は一緒がいいみたいだな。予定が無いなら、付き合ってくれないか?…な」 菜々子がいいのなら、悠には特に断る理由は無い。テレビの中の調査が一瞬脳裏に浮かんだが、元々悠の任務は菜々子の守護である。優先順位に揺るぎは無い。 「行きます」 「じゃあ、決まりだな。3人で遠出しよう」 「菜々子、おべんとう、もって行きたい!」 「ん?ああ、そうだな。いつも惣菜メシばかりだからな。けど俺は作れんしな…菜々子も、一人で弁当ってのはまだ無理だろ…」 と言いながら、堂島の視線はしっかりと悠の方を向いている。悠に歩み寄り、肩をひとつパシっと軽く叩かれた。 「…けど大丈夫か。今年はお前がいたんだったな。この間作ってくれたようなヤツ、頼んだぞ」 「やったー、おべんとう!」 菜々子はとても喜んでいる。悠は成り行きで家族のお弁当を作る役になってしまった。今度こそ変な仕上がりにはしたくないなあと、悠はとりあえず数冊の料理本を手にして何を作るべきか、慎重にピックアップすることにした。 |
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